司法書士試験_民法第369条_抵当権の定義についての記述のうち_不明な点について

 

民法の第369条は抵当権の定義についてのものですが、


第三百六十九条 

抵当権 者 は、 債務者 又は 第三者 が 占有を移転 し ない で 

債務 の 担保 に供 し た 不動産 について、

他 の債権者に先立っ て 自己の 債権の弁済 を 受ける 権利 を有する。 


2地上権 及び 永小作権 も、 抵当権 の 目的 と する こと が できる。 

この 場合 において は、 この 章 の 規定 を 準用 する。


上記のうち

債務 の 担保 に供 し た の「供 し た」は、

「きょうした」と読むのでしょうか?


それと第2項の「地上権」、「永小作権」というのは

どういったものでしょうか?


小作、と名付けられているのは農業に関係はあるのでしょうか?



### 1. 「供した」の読み方


「供した」は **「きょうした」** と読みます。

  

「供する(きょうする)」は、「提供する」や「差し出す」という意味があり、

「担保に供した」は「担保として提供した」という意味です。


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### 2. 地上権と永小作権について


**地上権**と**永小作権**は、

どちらも不動産に関する権利ですが、その目的や用途が異なります。



#### **地上権(ちじょうけん)**


- **定義**: 他人の土地を使用する権利。


- **用途**: 


建物を建てたり、地下施設を設置するために利用される。



- **特徴**: 


土地の所有者と地上権者(利用者)が異なる場合に、

利用者が土地を合法的に使うための権利。

たとえば、建物を建てるために他人の土地を借りるときに設定される。



- **具体例**:


  - ビル建設のための借地契約。

  

  - 地下鉄やトンネル建設での地下利用。


#### **永小作権(えいこさくけん)**


- **定義**: 

他人の土地を農業目的で使用する権利。



- **用途**: 

作物の栽培や農業生産のために土地を借りる場合に利用される。



- **特徴**: 

「永小作」とは、比較的長期間(または永続的)にわたり、

土地を農業に使う権利を意味する。



- **具体例**:


  - 農地を借りてお米や野菜を栽培する。

  

  - 長期間にわたり農業用地として利用する契約。


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### 3. 「小作」と農業との関係

「永小作権」の「小作(こさく)」は、歴史的に農業に由来しています。


- **小作の歴史背景**:


  - 昔の日本では地主が土地を所有し、

小作人(農民)がその土地を借りて耕作し、

収穫物の一部を地主に納めていました。

  

  - この仕組みを「小作」と呼びます。


- **現代の永小作権**:


  - 現代では、土地の使用目的が契約で明確にされており、

農業に限らず、牧場や林業などの目的でも設定される場合があります。

  

  - ただし、「永小作権」として認められるのは農業や農地利用が中心です。



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### 補足


第369条第2項において、

地上権や永小作権が「抵当権の目的」となるとは、

これらの権利そのものを担保として設定できることを意味します。


たとえば、地上権を持つ人がそれを担保にお金を借りることが可能です。




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