司法書士試験の範囲での
最高裁判所の裁判官の任命などの
裁判所の組織と権能に関する記述のうち、
行政機関が裁判所の前審として裁判を行う制度,というのは
どの法典に記載されているのでしょうか?
「行政機関が裁判所の前審として裁判を行う制度」に関する記述は、
日本国憲法や関連する法律の中で直接的に取り上げられるテーマです。
この制度については、特に以下の法典や条文が関連します:
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### 1. **日本国憲法**
- **第76条第2項**
> 「特別裁判所は、これを設置することができない。
行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。」
- この条文に基づき、行政機関が「裁判所」の権能を有する終審機関として
裁判を行うことは禁止されています。
ただし、裁判所の「前審」として行政機関が手続きを行うこと自体は、
この条文の直接の制約には含まれていません。
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### 2. **行政事件訴訟法**
- **第4条**(裁決主義)
> 「行政庁の処分または裁決については、他の法令に特別の定めがある場合を除き、
当該処分または裁決に対して直ちに訴訟を提起することができる。」
- この条文から、行政処分に対して訴訟を提起する前に、
行政機関による「裁決」や「審査」を前提とする場合があることが示されています。
ただし、裁決は裁判所の判断ではなく、行政の手続きに属します。
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### 3. **行政不服審査法**
- **第1条**(目的)
> 「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分
その他公権力の行使に当たる行為について、
国民が簡易、迅速かつ公正な手続きにより
救済を受けることができるようにするとともに、
行政の適正な運営を確保することを目的とする。」
- この法律では、行政庁に対する不服申立ての手続きを規定しており、
行政機関が前審的役割を担う制度が存在します。
ただし、この手続きは最終的に裁判所に訴えを提起することが可能です。
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### 補足:
日本国憲法第76条第2項に基づき、
行政機関が裁判所として終審の裁判を行うことはできませんが、
行政機関が「裁判所に先立つ手続き(前審)」として
裁決や処分を行う制度は存在します。
これに関連する法律としては、
上記の行政事件訴訟法や行政不服審査法が該当します。
この制度の趣旨は、裁判所の判断に委ねる前に、
行政内部で問題解決の機会を提供することで、
簡易かつ迅速な救済を目指す点にあります。
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