司法書士試験の問題を抜粋したものについてお尋ねします。
Aが甲建物を所有していて、
それをBに売却して引き渡した後、
Cにも売却して、Cの場合は登記も済ませる。
このようなケースは、民法上の不法行為になるのでしょうか?
それとも刑法でしょうか?
あるいは、適法なのでしょうか?
↓
このケースは **民法上の不法行為** に該当し、
さらに **刑法上の犯罪** となる可能性もあります。
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### **1. 民法上の不法行為(債務不履行や損害賠償責任)**
AがBに甲建物を売却して引き渡した後に、
Cに対しても売却し、さらにCに登記を移転したということは、
Bの権利を侵害する行為となります。
- **二重譲渡** に該当し、
**登記を備えたCが所有権を主張** できます(民法177条)。
- その結果、Bは所有権を主張できず、不利益を被ることになります。
- Aの行為によってBに損害が発生した場合、
**民法709条(不法行為)** に基づき、
BはAに対して損害賠償を請求できます。
- また、AがBに対して債務(所有権移転の完全履行義務)を負っていたとすれば、
**債務不履行責任(民法415条)** も追及可能です。
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### **2. 刑法上の犯罪**
Aの行為は **刑法上の詐欺罪や背任罪、
横領罪** に該当する可能性があります。
- **詐欺罪(刑法246条)**
- AがBに売却した後、Cに対しても売却して登記を移転する際に、
Cを騙して売買契約を締結させた場合、詐欺罪が成立する可能性があります。
- **背任罪(刑法247条)**
- AがCに売却した時点でBに対する信義則を裏切る行為となるため、
背任罪の成立も考えられます。
- **横領罪(刑法252条)**
- Bがすでに占有している建物をAが再び処分した場合、
横領罪が成立する可能性もあります。
ただし、Aが所有権を持っている時点では微妙な部分もあります。
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### **3. 適法かどうか**
Aの行為は、**適法とは言えません**。
- **民法上はBの権利を侵害する不法行為** となり、
損害賠償請求を受ける可能性があります。
- **刑法上も詐欺罪や背任罪、
横領罪の構成要件を満たす可能性があり、
処罰されることも考えられます。**
したがって、Aの行為は **違法行為** であり、
民事上・刑事上の責任を問われる可能性が高いです。
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