行政書士試験_過去問_刑事訴訟手続 予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物

刑事訴訟手続において、検察官は、起訴状には、
裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添付し、
またはその内容を引用してはならない


行政書士試験の過去問では
上記の記述が妥当かどうかの選択問題がありますが、

この文章を単純に読んでいくと、刑事裁判での検察官の行動に関する
ルールについて記述されているようですが、

法律に詳しくない人だと、事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物

というのがどのようなものなのかわかりずらい気がします。

これは、裁判官の判断を誤らせるような、
あいまいな、あるいは、難解な資料を添付、引用しない、というルールを
課せられている、ということでしょうか?


    ↓
    

刑事訴訟法の第何条かに記載があるのでしょうか?


### 1. **この記述の趣旨(裁判官の予断を防ぐルール)**  

   ご指摘の通り、
   この記述は**刑事裁判における検察官の行動に関する
   ルール**について述べています。
   
   **「事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物」** とは、
   簡単に言うと、**裁判官が先入観を持ってしまうような資料**を指します。  


   これは、刑事裁判の原則である
   「**公平な裁判**」を確保するためのルールであり、
   **裁判官が偏った判断を下す原因となる証拠や書類を、
   検察官が起訴状に添付・引用してはならない** というものです。  

---

### 2. **具体的にどのような資料が該当するか?**  

   例えば、次のようなものが
   「裁判官に予断を与えかねない資料」とされます。  

   ✅ **被告人の過去の犯罪歴**
        (「以前にも同様の罪で逮捕された」など)
   
   ✅ **捜査報告書や供述調書の一部**
        (検察官側に有利な内容が強調されている場合)  
        
   ✅ **被害者の意見書**
        (過度に感情的な内容が含まれている場合)  

   **重要なポイントは、これらの証拠が裁判官に
   「事前の偏った印象」を与える可能性があることです。**  
   
   裁判は、公判での証拠調べや弁論を経て、
   適正な手続きで進められるべきものなので、
   **事前に裁判官が不公平な先入観を持つことを防ぐ** ために、
   このような制限が課されています。

---

### 3. **「あいまい・難解な資料」の禁止とは違う?**  

   ここで注意すべきなのは、   

    このルールは「**あいまいな資料や難解な資料を禁止する**」ものではない、
   という点です。  

   - **誤解しやすい点**:

    「裁判官が理解しにくい資料を排除するルール」ではない  


   
   - **正しい解釈**:

    「裁判官が不公平な先入観を持つような資料を排除するルール」  

   つまり、
   問題となるのは**資料の内容が「裁判官の予断を生むかどうか」** であり、
   単に「難しい・わかりにくい」資料を禁止するわけではありません。

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### 4. **刑事訴訟法の該当条文(第256条第6項)**  
   この規定は、日本の**刑事訴訟法第256条第6項**に記載されています。  

📜 **刑事訴訟法 第256条第6項**  

> **起訴状には、裁判官に事件につき
予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添付し、
またはその内容を引用してはならない。**  

   つまり、問題文の記述はこの条文をもとにしたものであり、
   **このルールは法律で明確に定められている** ということになります。



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