行政書士試験_行政手続法_第二条_不利益処分の例外_事実上の行為_立入検査

 
行政手続法 第二条の4号

で不利益処分の意味と
不利益処分を適用しないケースが記述されていますが、


イ 
事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、
時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分

という条件が指定されていますが、

不利益処分というのは このようなケースで下す処分です、
の説明の箇所での例外なので、

イの結果、対象者が不利益を被っても
不利益処分とは言わない、ということですか?

具体的には
どのようなケースでしょうか?
例を挙げて説明してください。



ご質問ありがとうございます。

行政手続法第2条第4号の「**不利益処分**」について

、「**イ**」の例外規定が意味するところ、
そしてそれが適用される具体例を説明します。

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## ■ 行政手続法第2条第4号の概要

まず、行政手続法第2条第4号では、
\*\*「不利益処分」\*\*を次のように定義しています(要約):

> **行政庁が特定の者に対して義務を課したり、
    権利を制限・剥奪したりする処分**のこと。

これにより、許認可の取消しや停止、
業務停止命令、課徴金の賦課などが「不利益処分」に当たります。

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## ■「イ」による除外規定とは?

不利益処分の定義の最後に、
\*\*「ただし、次に掲げる処分を除く」\*\*という形で
例外が設けられています。

そのうちの「**イ**」は以下のように書かれています:

> イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、
    時期等を明らかにするために
    法令上必要とされている手続としての処分

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## ■ わかりやすく言うと?

これは簡単に言えば:

> 「行政が行う“事実上の行為”に付随して形式的に行う処分」は、
    「不利益処分」とは見なされない

ということです。

### ●「事実上の行為」とは?

行政が行う実務的な活動で、
法律上の権利義務の変動を直接もたらさない行為のことです。

例:

* 監査
* 立入検査
* 調査活動
* 指導・助言

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## ■ 「イ」の該当例と意味

### ● 例1:食品衛生監視員による立入検査

ある飲食店に対し、食品衛生法に基づいて立入検査を実施する場合。

* 行政は「立入検査の日時・範囲」を**事前に通知**することがあり、
    これ自体が形式的な「処分」にあたる可能性があります。

* しかしこれは「検査(事実上の行為)」をするために
    必要な手続きであって、
    **営業許可の取り消しや停止**のように**法的な制裁**ではありません。

よって、その通知処分により不便・迷惑を被ったとしても、
それは「不利益処分」には該当しません。

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### ● 例2:教育委員会による学校訪問

教育委員会が「不登校生徒の実態把握」のため、
家庭訪問することを決め、保護者に日時を通知する場合。

* この通知も「処分」の一種と言えるかもしれませんが、
    **訪問自体は事実上の行為**です。
    
* 通知によって保護者が心理的にプレッシャーを感じることがあっても、
    **直接的な法的義務・制裁が課されるわけではない**ため、
    「不利益処分」には当たりません。

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## ■ なぜこのような例外があるのか?

行政手続法では「不利益処分」に対しては

\*\*事前の意見陳述(聴聞・弁明)\*\*などの
厳格な手続きを要求しています。


しかし、「イ」のような処分まで毎回そのような手続きを要求すると、

* 行政の調査・検査が迅速に行えなくなる

* 実務が非効率になる

という問題があります。

そのため、
**あくまで事実上の行為のための前段階である処分**は

「不利益処分」から除外されているのです。

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## ■ まとめ

| 内容        | 不利益処分か? | 備考                |
| --------- | ------- | ----------------- |
| 営業停止命令    | ○       | 法的制裁。聴聞が必要        |
| 立入検査の通知   | ×       | 事実上の行為のための準備。イに該当 |
| 家庭訪問の日時通知 | ×       | 同上                |
| 保健所の調査通知  | ×       | 同上                |

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